Webの自社開発においてもQCDは重要

はじめに

QCDという言葉をご存知でしょうか。

私の中では(今更ながら)最近のトレンドワードです。

 

元々は製造業の言葉で、現在は他の業種でも使われます。

Quality(品質)

Cost(コスト)

Delivery(納期)

の頭文字を取った、製造の三本柱です。

 

ja.wikipedia.org

 

QCDと言わずQCT(Time)だったり、QCDFやQCDS等の派生も多く存在します。

 

重要なポイント

 

トレードオフであることが多い

一般的に、品質を上げようとするとコストが上がったり納期が遅れる。

コストを下げようとすると、品質が落ちたり納期が遅れる。

納期を早めようとすると、品質が落ちたりコストが上がったりする。

 

品質を上げつつ、コストを下げて納期を早めるのはなかなかに難しいです。

 

Qualityが最重視

3つの中でQuality(品質)が一番に来ているのは、品質が一番重要であるから。

例えば飲食店で料理を頼んだとき、いくら安価であっても即提供されるスピード感であっても、完食が困難な品質の料理が提供されるのであれば、よほどお金や時間に困っていない限り、お金を出す気にはならないですよね。

逆に、美味しいことで評判な飲食店の料理であれば、多少高くても・多少列に並んででも食べたいと思うことは多いはずです。

 

バランスが重要

とはいえバランスが重要です。

美味しいけれど1万円したり、何時間も並ぶ料理も、たまにはいいかもしれないですが毎週のように通い詰めるのは厳しいですよね。

 

なぜWebの自社開発においても重要なのか?

納品で売上の立つ受託開発と違い、自社開発はサービスのブラッシュアップを随時行い、売上利益を向上させることが重視されます。

すると『リリース時期』というDelivery(納期)がほぼ固定化されている中でも、「あれをやった方がもっと成果が出るのでは?」という追加案が次々に出てくることが多いです。

 

前述の通り売上利益の向上が重視されることから、自社開発では「リリース時期そのままで、追加案もやる」という判断がされがちです。

この判断が一律誤りとは言いませんが、こういった際にQCDの観点があると役に立つかもしれません。

 

QCDからどう判断するか?

ここで重要なのは出た案を全部やることでもなく全部却下することでもなく、QCDの観点からQuality(品質)を最重視しつつ、バランスよく最大化できる方法を判断することではないでしょうか。

 

例えば、

  • 追加案の代わりに、Quality向上の寄与が小さいと思われる既存案を減らし、全体での工数に影響を与えない取捨選択をする。CostとDeliveryを変えず、Qualityを上げられる可能性がある。
  • 一時的に人員を増やし、Costを上げてもQualityとDeliveryを死守する。
  • Cost向上の余地が無くQualityの為に取捨選択も難しいのであれば、Deliveryを遅らせる。

等の選択肢があります。

 

ちなみに前述の「リリース時期そのままで、追加案もやる」という判断をそのまま実行すると、『トレードオフであることが多い』の観点から、品質が落ちるかコストが上がる可能性が高いです。

 

実例だと、

  • テストに十分な工数が避けず不具合が増える(Quality)
  • 無理やり納期に間に合わせるために残業が増え、参加メンバーの心身が削られたり残業代が増える(Cost)

ケースが非常に多いです。

 

最後に

こういった知識は、エンジニアだからこそ持っていたり気付ける可能性が高いです。

エンジニアからこういった概念を伝えたり、実現できる代替案を提案できると良いかと思います。