【新卒・転職者向け】Webエンジニアとして生きていけるか?漠然とした不安を解消します

想定読者

  • Web系企業への就職を考えているが、プロのエンジニアとして通用するか不安を抱えている学生
  • 受託開発で働いておりWeb系への転職を考えているが、不安を抱えている社会人
  • 完全未経験でWeb系企業への転職を考えているが、不安を抱えている社会人
  • Webエンジニア成り立てで、この先やっていけるか不安を抱えている社会人

この記事で伝えたいのは、

  • Webエンジニアとして働くだけであれば、ハードルはそこまで高くない
  • ただしエンジニアとして働くのはゴールではなくスタート。活躍し成長したり昇給するには、それ相応の勉強・努力が必要

の2点です。
Webエンジニアとしてやっていけるだろうかという漠然とした不安に対し、実態をお伝えして少しでも手助けになれば。
筆者が自社開発のWeb系企業で働いており、本記事は自社開発のWebエンジニアを前提とした内容となっていますのでご注意ください。

自社開発と受託開発の違いは?

ITエンジニアは大きく分けて「自社開発」「受託開発」の2つになるかと思います。 業界未経験の転職者や学生の場合、まずこの2つの違いは知っておく必要があるかと思いますので、paizaさんの記事を貼っておきます。

paiza.hatenablog.com

受託開発でもWebエンジニアは存在しますが、本記事では特に記載がない限り「Webエンジニア=自社開発でのWebエンジニア」を指します。

筆者の経歴

こんな人間でもWebエンジニアとして働いていますよという、ハードル下げの為に。
この記事の本筋には全く絡んで来ないので、興味のない方は読み飛ばしてください。

  • 中学:メモ帳+htmlでWebサイト運営(ゲームの攻略サイト)を始める
  • 高校(1):半年で中退、その後半年ほど引きこもり。上記サイトに広告貼って運営。Max月収5万円ぐらい。アフィ生活の大変さを知る。
  • 高校(2):定時制高校に編入するも、4年ほど遊び呆けて授業ほとんど出ず中退
  • フリーター:高校時代から続けていた飲食店のアルバイトをしながら、1年間で高卒認定取得。
  • 大学1年:21歳で工業大学に入学。コーダーから抜け出し、初めてプログラミングを学ぶ(C言語)。
  • 大学2年:PHPを学び始める。約半年後、学生Webエンジニア向けのサービス開発コンテストがあり、グランプリをいただく
  • 大学3年:上記コンテストに協賛していたWeb系IT企業(一部上場企業)がアルバイトを募集していたので、Webエンジニアとして勤務を始める
  • 大学4年:アルバイトで勤務しながらその会社の新卒採用試験を受け、内定
  • 社会人:1年目Webエンジニア、2年目小規模チームのリーダー、4年目マネージャー。現在5年目

別に子どもの頃からバリバリのプログラミングやってましたとか、高校大学とプログラミング漬けでした、という経歴じゃなくてもWebエンジニアになることは可能です。

Webエンジニアになるために必要なものは?

医者や弁護士、パイロット、教師等のように、免許や資格がないと働けないわけではないです。
名乗ってお金を1円でも貰えれば、その日からプロのWebエンジニアです。
しっかりインプットとアウトプットをしていれば、半年ほどで新卒中途問わず、しっかりした会社のWebエンジニアとして採用される可能性はあります。

就職において技術系の資格は必要?

会社によって採用基準が異なるので、「会社によります」という結論になります。
問われる場合は基本情報、応用情報が大半でしょうか。

中小やベンチャー気質の会社は資格有無は問われにくく、大手だと問われやすいイメージがあります。
※統計データを元にしている発言ではないです

採用は複数の要素で合否を判断するので、「この資格持っているから即採用」と単独で判断されることは無いと思いますし、それだけの情報で採用を決めてしまう会社は危険です。
例えばあなたが航空会社の採用担当者だとして、明らかに素行がおかしくトラブル起こしそうな人を「操縦士の資格持ってるからOK!」とはしないですよね。

資格有無は判断材料の一つです。
企業側からすると面接にかけられる時間も有限(応募者全員面接している余裕はない)なので、書類選考を通過し面接まで行った時点で、少なくとも資格有無での足切りをされている可能性は低いです。

とはいえ、高度情報処理技術者(レベル4)を持っていたりすると、良い意味で目に留まる可能性はあります。
情報処理技術者試験 - Wikipedia

個人的に、時間のある学生のうちであれば、基本情報・応用情報の取得は一考の価値ありかと思います。
就職して働き始めると、実業務に活きる知識や最新のトレンド技術を学ぶことに時間を割くことが多く、なかなか基礎知識を学ぶ時間は取りづらいです。
基礎知識があると他のエンジニアと共通言語で話せることも増えるでしょうし、前述の通り資格取得が問われる会社も存在するので、転職時の選択肢を広げる意味でも損は無いかと。

人によってWebエンジニアに向き不向きってある?

どんな職業でもそうだと思いますが、やはりあります。

プログラムがどう動いているのか考えずにソースコードのコピペに頼る人だと、どうしても保守性は低くなりますし、応用知識が必要なコーディングにかける時間が増えて業務効率は上がらず、給与も上がりづらいでしょう。
意識して変えられる部分もありますが慣れるスピードも人によってまちまちですし、ずっと悪い癖が直せない人もいます。

他にもいろいろな要素がありますが、それだけで1記事埋まるのでここでは割愛します。

就職にあたり、あらかじめ何を学んでおけばいいの?

この記事の本題ではないので、記事執筆2019年当時の技術として、すごくザックリと紹介。

今はWeb上でフレームワークの丁寧なチュートリアルや動画学習サービス等もあるので、自力で一通りWebアプリケーションを作れるレベルにはなっておいた方が良いです。

実際のWebサービスで使われている言語やフレームワークは、こちらの記事が参考になります。
employment.en-japan.com

フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの違いは?

主に担当範囲の違いとなります。

  • フロントエンド:html, css, jsを主に駆使して、エンドユーザーに見せるボタンやフォーム等「表側」の部分を主に指す
  • バックエンド:ユーザーのリクエストを元にデータベース等から情報を取得し、フロントエンドにデータを渡す「裏側」部分を主に指す

人数の少ないチームや規模の小さい会社だと、フロントエンドエンジニア/バックエンドエンジニアの区別が無く、兼任している場合も多いです。
このあたりも、企業選びの時に確認して判断材料にすると良いでしょう。

受託開発から自社開発へ転職は可能?

採用に携わっている私から見ると、十分可能です。実際私の勤める会社でも、中途のWebエンジニアの多くは元SIerです。
ですが受託と自社では求められるスキルが異なる為、転職当初の給与は横ばいや、下がることも有り得る点だけご注意いただきたいです。

記事冒頭に紹介したpaizaさんの記事にもありますが、一般的に自社開発ではプログラミングのスキルやスピードが問われやすいです。
なぜなら自社開発の場合競合サービスが存在することがほとんどで、いかに早くリリースしてブラッシュアップを繰り返せるか、スピード勝負になることが多い為です。

長期PJを成功に導くための要件定義や設計等、一般的に自社開発のWebエンジニアが苦手としやすい部分を受託開発出身者が長所として活かせる可能性もありますので、前職のスキルが活かせて貢献できる・評価される場面ももちろん存在します。
ただしそれは恐らく、受託開発時代より求められるウェイトが減るはずです。
給与面だけでなく、そういった文化の違いに適応していく必要はあります。

完全未経験の社会人がWebエンジニアへ転職は可能?

年齢とやる気次第かと思います。
20代であれば、プログラミングスクールに数ヶ月通った後、第二新卒として採用されることも珍しくありません。
未経験30代以上だと現実問題、書類の時点で落とされることが多いと思います。

新卒でWebエンジニア目指しているけれど、技術力はどれくらい問われる?

これも会社によります。
技術力があって損になることはないですし、新卒であっても即戦力レベルの技術力を必要としている会社もあります。

エンジニアとしての実務経験が無い方に共通して伝えたいこと

「Webエンジニアになること」がゴールだと、仮に就職できても給与が安く昇給も望めないかもしれません。そもそも採用に至らないケースも多いです。
そして「Webエンジニアになること」はゴールではなくスタートです。

実務経験が無い中だと、今の自分の技術力で通用するのか?どうしたらWebエンジニアになれるか?という「今」に意識が向きがちです。
ですがそれよりも、自分自身の「未来」を作る上で必要な、技術成長に対する向き合い方が遥かに重要になります。

「Webエンジニアになるため、【プログラミングスクールに通って/専門学校や大学で】課題だけはしっかりこなしました」レベルの場合、優秀な人材として見られることはほぼ無いです。
なぜなら実務経験が無い人を採用する場合、企業は基本的にその人の将来性を見込んでいます。与えられた課題だけをこなすという「技術は教わるもの」スタンスの場合、将来性に確信を持つことが難しくなります(詳細は次のセクション)。

未経験で技術力が無くても採用された場合、会社が期待するのは「将来性」です。未来永劫、エンジニアに技術成長を求めないという会社は稀でしょう。
よほど体力のある会社か、レベル感問わずとにかく働き手が欲しいというお尻に火がついた会社ぐらいかと思います。

じゃあ、どうすればいいのか?

「これ、どうやったら実現できるんだろう?」と気になった技術は、とことん追求してみましょう。
技術ニュースにアンテナを張り、気になったものはすぐ手を動かして学んでみましょう。
自ら積極的にインプットし、積極的にアウトプットすることが大切です。

技術は教わるものではなく、自ら学ぶもの

新卒面接の中で、よく「教育体制・教育制度」について聞かれます。
私の勤める会社だと入社後の研修はもちろん、業務に入った後も質問しやすい雰囲気で、相互レビューやペアプロ・モブプロの仕組みもありますし、社内勉強会やLT大会を開催したりもしています。
ですがこれらは自己学習だけで到達しづらい知識のサポートをするための制度です。

これら体制や制度は、自ら学ぶ意欲と行動力のあるエンジニアがいることが前提となります。
例えば前述のペアプロ・モブプロや社内勉強会やLT大会ですが、教える側も教わる側も社内のエンジニアです。メンバー間に知識・技術に格差があるからこそ初めて成立します。
知識や技術に格差が無く全員知っていることなら、わざわざそういった機会を取る意味も無いので。

そういった知識や技術の多くは、自己学習で得たものです。
自己学習でインプットした知識をそうやってアウトプットし、組織に還元し、サービス改善に繋がる。それが双方のエンジニアの成長に繋がり、サービスや会社の成長に繋がり、世の中をより良くすることに貢献することになります。
頼られるエンジニアとして周囲に貢献していくのであれば、やはり自己学習が必要です。

プライベートの時間でも勉強し続けないと生きていけないって本当?

自己学習を一切せずとも、5年10年ぐらいであればたぶん生きていけます。
Web業界は流行り廃りが激しいと言われますが、10年前の言語やフレームワークが現役バリバリで動いているWebサービスも多いためです。

ただしそういった姿勢だと昇給はあまり望めませんし、会社によっては周囲との温度感の差に居づらくなって、結果的に自分から職を離れる可能性があります。
前セクションの通り、自ら学んでいないと、組織に無い知識を発信することが困難になります。

つまり、全く勉強しないWebエンジニアは、生きていけないことはないけれど生きづらいのは事実かと思います。
自社開発の業務の中で新しい技術に挑戦させてくれる気風のある会社は多いですが、その技術を採用することのメリット・デメリットを把握し、責任持って定着に尽力できる人でないと提案は通りづらいかと思います。

もちろんプライベートの趣味や休息も必要なので、四六時中技術を学んでいる必要はありません。

エンジニア35歳定年説って本当?

35歳前後になると、エンジニアとして手を動かすのではなく、マネジメントのキャリアパスを歩まなければならない。
そういう風潮のある会社があるのは事実です。

ただし35歳定年説や日本における技術者軽視について多く語られるようになった現在、専門技術を極めるスペシャリストもしっかり評価していく動きが活発化してきているように思います。
筆者の勤務先では、エンジニアのキャリアパスとして「マネジメント」「スペシャリスト」の2つが用意されており、評価や昇給もそれら2つの上下関係無く行われます。

特に新卒であれば、将来マネジメントを担うエンジニアとして働くイメージは湧きづらいと思うので、

  • エンジニアのキャリアパスとして何があるか
  • キャリアパスが複数の場合、給与や待遇に差があるのか
  • 実際どれくらいの人数がそのキャリアを選択しているのか(制度としてあるだけでなく、運用されているのか?)

あたりは面接等で聞いてみると良いでしょう。

まとめ

  • Webエンジニアとして働くだけなら、ハードルはそこまで高くない
  • 会社によって資格が必要になるかもしれないが、就職する上で必須ではない
  • 受託開発からWeb系への転職は珍しくない。ただし給与が上がる保証はない
  • 未経験からの転職も珍しくない。年齢上がるとやはり厳しくなる
  • 成長したい、昇給したい、長くエンジニアを続けていたいのであればプライベートでの勉強は必須
  • 35歳定年説は会社による。自身のキャリアパスによっては、就職時に見極めが必要

です。

ここまで長文の記事を書くのが初めてなので稚拙な文章ですが、読んでいただきありがとうございました。