自分でやりすぎちゃう上司になっていませんか?
仕事の中で、
「こういうトラブルが起きています、どうしましょう?」
と相談を受ける上司は多いのではないでしょうか。
その際、どういう対応をしていますか?
「じゃあ、こうしたらいいんじゃないかな?」
と自分の考えを伝えますか?
さて今日は、マネジメントの研修で恐らく最初の方に教えられることを書きます。
「じゃあ、こうしたらいいんじゃないかな?」
これはいわゆるティーチングです。
課題に対し答えを教えに行っている状態です。
ティーチングが必ずしも悪ではないですが、この状態が日常化するとどうなるか。
部下は自ら解決法を考えることを止め、上司に答えを求めに行くようになります。
すると当然、経験値が溜まるのは上司だけ。
メンバーはいつまで経っても、上司と同じ経験値が溜まらずに昇格できません。
それではどうするのか。
その際に今回の主題、「ティーチングではなくコーチング」になります。
ティーチングとコーチング、似ている言葉ですが違いが分かるでしょうか?
一見、どちらも「教える」ことに変わりがないように感じませんか?
コーチングの考え方からすると、
「こういうトラブルが起きています、どうしましょう?」
に対しては、
「じゃあ、まず何をしたらいいと思う?」
といった問いかけをすることが多いです。
それにより、部下が自分だったらどうするか考える機会を作り、1つ上の視座から物事が考えられるチャンスになります。
その結果部下が出した結論を放置するのではなく、もし考えの方向性が大きくズレていたらアドバイスしましょう。
ここでも状況によりますが、「コケないように完全サポート」よりは、多少コケてもいいので自分自身で決めさせて、自分自身で行動させるのも重要と考えています。
人間は成功した時より、失敗したことの方が記憶に残りますし、自分の考えや行動の何が足りなかったのか反省する機会が増えます。
コーチングの結果、もし失敗しそうでもグッと見守る勇気も大切かもしれません。
(もちろん、他人に迷惑を過剰にかけてしまったり、人命に関わるような場合は全力サポートが必要ですが)
つまりティーチングは直接的な支援で、コーチングは間接的な支援です。
我々が原始時代の人間だとして、子どもが「お腹が空いた」と訴えた時に
- 獣や魚を狩猟して子どもに与えるのが直接的な支援
- 狩りのやり方や釣り竿の作り方を子どもに教えて自分で採れるようにするのが間接的な支援
です。
直接的な支援のみを続けていくとどうなるのか。
自然界の鳥に例えるなら、巣でくちばしを開いて訴えるだけの雛がそのまま大きくなっていき、親が死ぬと自分で狩りに行けないので餓死します。
いわゆる上司はスーパープレイヤー上がりが多いです。
営業ならスーパー営業マン、エンジニアならスーパーエンジニア。
そういった人たちが上司になってすぐは、どうしても「自分が解決した方が楽だし早い」となって、部下の考えるチャンス・成長するチャンスを奪いがちです。
そこでグッと抑えて、「部下に任せて、失敗した時は自分が責任を取る」ぐらいの覚悟が必要とされるでしょう。